1/35 独逸駆逐戦車 エレファント(冬季迷彩)(1944〜5年 ウクライナ〜ドイツ)(1/35 ドラゴン・サイバーホビー)
German tank destroyer Sd.kfz.184 (1944~5 Ukraina~Germany)(Dragon)
参考文献:大日本絵画 アハトゥンク・パンツァー 第6集 ティーガー戦車編
デルタ出版 グランドパワー誌 1998年7月号 重駆逐戦車エレファント」
並木書房 「第2次大戦ドイツ軍装ガイド」
大日本絵画 カールハインツ・ミュンヒ「第653重駆逐戦車大隊戦闘記録集」
Reffrence:Dainihon kaiga "Achtung panzer series6 heavy tank Tiger"
"Record of the 653th heavy tank destoryer division"
Namiki shobou "Guide for German uniforms during WW2"
Delta shuppann "Ground power" july 1998
タミヤからエレファントが発売になると聞いて、せっかくなので「タミヤ製では作りにくいイタリア戦線向けエレファントを形にしよう」と思い製作しました。
フェルディナント改めエレファントは全車両にツィメリットコートがなされていましたが、これにはおおまかに2種類のパターンがありました。
ロシア戦線向け:戦闘室ピストルポートの上までコートされている
フェンダーに塗布はなし
戦闘室前面にも三角形にコーティングされている
イタリア戦線向け:コートはピストルポート下部まで
フェンダーに塗布されている車両もある
戦闘室前面にコートはなし
他にも個別の差異として、ボルトの周りを花のように円形にひだを整形している車両も見られます。
本車両は、ツィメリットコーティングに特徴のある「イタリア戦線向け」塗装で製作しています。というのは、タミヤ製キットには「ここでロシア戦線向けと分かれるよ」という細い線がモールドされている
らしく、これを消すのが面倒なので側面コーティングの位置がロシア戦線より低いほうのコーティングを施すことにしました。
クルスク戦の後、残存した1943年12月から翌年44年3月までの間にオーストリアのザンクト・ヴァーレンティーンにてすべての「フェルディナント」は「エレファント」に改修されましたが、
その際に第653重戦車大隊の第1中隊だけはイタリアに分派され、この時点でイタリア戦線・ロシア戦線のツィメリットコートに差異がみられるようになったようです。
このとき分派されたエレファントは11両、そのうち44年6月に引き揚げた際に生き残っていたのは2両だけでした。
この2両
は本隊に合流していますが、このうちの1両と思われる車両が1945年、ポーランドへの後退戦中の事故車両回収中の写真に写っていました(「第653重駆逐戦車大隊戦闘記録集」383P)参照)
。後部のハッチより下にコーティングがきているのがかろうじてわかりましたが、おかげでイタリアから帰還した車両がまだこの時点で残っていたことが確認できました。なお、ポーランドのカルパチア山中にある
パド・ラプカに到着した時点でエレファントの総数は12両になっており、さらにベルリン包囲戦においては4両が参加して全滅していますが、支援部隊のほとんどは脱出に成功したそうです。
なので、この模型は44年から45年の冬を想定していただければと思います(合成写真の背景は実はデンマークだったりしますが)。
車両のツィメリットコーティングは、コーティング用ローラーが手に入ったのでせっかくだから「厚ぼったい、泥を塗りたくったようなコート」を実践してみました。実際はかなり薄いコーティングですが、
白い冬季迷彩ではこちらのほうが映えると思います。
キットは追加のエッチングはほぼ使わなくてもそのまま製作できました。今回は車両前部に追加したスコップにアベールのエッチングを追加使用しています。
キャタピラは可動のモデルカステン製です。ベースには接着していないので、車両単体でも楽しめます。車両の転輪サスペンション機構も生かしていますので、丸太か石でも乗り越える表現ができます。
<塗装>
塗装はいつもどおりの筆塗装で、まず基本色のダークイエローを塗装してから、白迷彩をしています。
塗装完了後、傷・錆を書き入れ、土ぼこりで汚れた雰囲気を出す為にパステルを混ぜたアクリル塗料でウォッシングしています。
組み立ての都合で、最初に足回りを完成させてから、車体上部を組み立てました。
First,the model is painted in dark yellow. then, in green and red brown as its boundary becomes brigt.
After painting is finished, dirt of pastel powder is painted by brush.
<車体上面>
車体上面はクルーがどかどかと汚れた靴で乗ってくることを意識して塗装しました。傷ついた部分も、パステル錆が平面ににじむようにしてます。
キットのベンチレーターカバーには、ちゃんと雨水排水用の溝があけられていました。
Top of vheecle was dirty by muds of infantries and crews shoes.
<車体前面>
ボルトをはずしたほうがコーティングは楽でしたが、ボルトもツィメリットコートがかぶさっている表現しています。
車両前縁部と下部には、コーティングがダメージを受けてはげている表現をしました。白塗装ですと特にいいアクセントになります。
予備キャタピラはキット付属のものですと押し出しピン跡が目立つので、モデルカステン製のものにロッドを追加して配しています。
<車体側面>
車体側面の取付金具類はキット付属のエッチング製です。
フェンダーは、途中で丸太でも巻き込んだようにひしゃげさせています。
前部フェンダーはねあげ用スプリングはキットではプラ部品でしたが、小型の本物のスプリングに換装しています。
牽引ケーブルはステンレス製ワイヤーを使用。これは曲げ加工がたいへんですが、鉄色で塗装したあと(実際はオイルと汚れで真っ黒ですが)塗装を少しはがすだけで金属の質感が出せるので好きです。
Toolholders are made of photo-etched parts.
towing capbe is made of stainless wire.
<車体後部>
用具箱は、せっかくエッチング製だったのでダメージ表現をしています。
アンテナ取り付け基部はドリルで開口してそれらしくしています。
<ベース>
木製ベースにニスを塗ったあと、紙粘土で地面を作っています。
地面に轍を作ってから砂・小石でテクスチャを作り、大き目の石をコルク片で表現しました。
草は背丈の高いものが手植え、低いものはミニネイチャー製の草を配しています。
樹木は本物の小枝に、ドライフラワーの小枝をくっつけて製作しました。
<フィギュア>
フェルディナント・エレファント乗員に関しては、写真を見てみるとどうも黒服の人が上官やSSの人間、整備部隊以外にみあたらない上、式典の際に略帽ではなくヘルメット姿で整列していたので
で変だな、と思ったのですが、実は653大隊の前進は第197突撃砲大隊であったため、突撃砲クルーがほぼそのまま機甲科に転属になった結果そのようになったようです(改称は43年4月1日)。
同大隊は、45年にヤークトティーがーを受領するまで、黒い戦車兵服を受領されなかったそうです。クラッシュキャップの人物も、高級仕官以外にみあたりませんでした。
今回のフィギュアはアルパイン製のものを使いました。帽子側面の鷲のマークと首からぶら下げている鉄十時のみ、デカールを使っています。
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