日本海軍給糧艦「間宮」(1933年)(1/700 ピットロード)
IJN Food supply ship Mamiya (1933,Pitroad)



参考文献:
光人社 写真 日本の軍艦 軽巡洋艦2
KKベストセラーズ: 福井静夫著 写真 日本海軍全艦艇史

 2014年8月発売のピットロード製キットをベースに制作いたしました。
 このキットの特徴は、船体が左右分割式で、フルハルであることでしょうか。一応説明書には「ここがウォーターラインなのでそこから上だけ並べたい人は切ってください」と指示があるのですが、船底の板は付属していません。 ウォーターラインのキットがほしい人は、アオシマ製を買いましょう。
 また、キットは「33年」と「44年」の2種類がリリースされていますが、差異としては
・戦時中にデッキに設置された機銃および機銃デッキ
・に補強された後マスト支柱
・舷外電路
などが挙げられます。これらを部品差し替えすることなく再現するべく、別キットにしたようです。

 今回は、大きな変更はなく、ディティールアップに徹しました。船は停泊状態を想定しています。

<船体>

 船体は前後の継ぎ目をパテで埋め、整形の際に消えてしまった鉄板の継ぎ目のモールドをデザインナイフで掘りなおしています。
 舷側には、タラップをおろしました。
 艦首・艦尾の喫水線標、艦尾の艦名は、キット付属のデカールを使用しました。

<甲板>

 甲板の材木はデッキタンをベースに、複数の材木色を面相筆で塗って再現しました。
 追加された機銃の弾薬箱は再現されていなかったため、フライホーク製のエッチング部品で再現しています。
 丸い備砲のデッキは、オリジナルのモールドを削って、裏面の補強材をエッチングの三角軽めの穴あき板で補強しています(ほとんど見えなくなりますが)。
 船庫のふたは、大きさ的に鉄板製だった可能性が高いのですが、美観的に材木色で縫っています。
 きせる型の通風塔は、穴をすべて0.5mmと0.8mmドリルでさらっています。この工作だけでもかなりのディティールアップになります。
 デッキ上のカッターはすべて、ファインモールド製にものに交換しました。食料運搬用の船・標的船はキットのままです。
 艦首・艦尾には、錨見台を展開しています。

<艦橋構造物>

 艦橋構造物は、組み立ててからは塗装できないので、あらかじめ塗りましょう。説明書にも書いてありますが、船橋左右には舷灯がモールドされています。
 煙突兆部のカバー支え・ジャッキステーはフライホークのエッチングです。
 蒸気捨て管はすべて0.4mm真鍮線に交換しています。
 甲板上のハウス(後部のそれは、おそらく清水重力タンク)には舷側に窓があることが写真で確認できます。
 船橋背面には、浮き輪のモールドがありました。浮き輪は後部構造物にもありますが、写真を見るとあったりなかったりします。

<マスト>
 テーパーのついたマストはそのままですが、ついていないマストはプラ棒で再現しています。
 マスト背面のヘビーデリックは、0.5mm真鍮線製。デリックアームは0.3mm真鍮線製。滑車・フックはフライホークのエッチング製です。ワイヤーケーブルは0.2mm鋼線で再現しています。
 船橋前の無線・信号マストにはエッチング製の足かけと、トラスを使用しています。
 ヤードはすべて、0.2mm真鍮線に交換しました。また、中央の無線空中線マストはプラ棒とエッチングのトラスで自作しています。

<武装>
 14cm単装砲・8cm高角砲は、太平洋戦争勃発直前まで倉庫保管でした。

<空中線>

 今回難儀したのが、空中線・索でした。
 贅沢な悩みですが、いい写真があったのでほぼすべてのラインが判明したのと、さらにいいタイミングでファインモールドから「メタルリギングPRO」という0.08mm鋼線が出たことで、かなり実際のサイズに近い線を張ることが できるようになりました。今回は用途に応じて
 ワイヤーケーブル類:0.2mm
 信号索:0.15mm
 空中線:0.08mm
 で表現しています。張るのに休み休み2隻で4時間かかりました。
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