日本海軍給糧艦「間宮」(1941〜42年)(1/700 アオシマ)
IJN Food supply ship Mamiya (1941to42,Pitroad)



参考文献:
光人社 写真 日本の軍艦 軽巡洋艦2
KKベストセラーズ: 福井静夫著 写真 日本海軍全艦艇史

 2015年1月発売のアオシマ製キットをベースに制作いたしました。
 このキットの特徴は、甲板が舷側に向けて緩く湾曲している(キャンバーと呼んで、水はけを良くすると同時に甲板の強度を高める効果があります)、船橋の窓ガラスが透明部品化されている(全部と一部を選択可能)、甲板上の 蒸気ラインらしきものがモールドされている、デリックにテーパーがついている、ウインチ類が別部品化されている、吸気塔に穴があいてないといったところです。
 アオシマ製の欠点は、マスト背面やボートの乾板など奥まった個所に押し出しピン跡があり整形が大変なことと、ボートと武装だけアンバランスに昭和レベルであることくらいでしょうか。全体として、船の模型としてのレベルはアオシマのほうが上ですが、 単にWLであるかフルハルであるか、で決めても差し支えないと思います。
 艦内の構造もある程度説明書でその内容を説明しながら、再現されていましたが、組み立ててしまうと意味がなくなります。透明部品にでもするんでしょうか。

 今回は、大きな変更はなく、ディティールアップに徹しました。船は停泊して荷役をしている(信号ヤードに、危険物荷役中を占める赤いB旗、停泊中を示す「黒球」を掲げています)状態を想定しています。また、若干のウェザリングを施しています。

<船体>

 船体はバスタブ状のスライド金型を使用した一体成型で、あってはならない金型の分割線をディティールを落とさないように気を付けながら消しています。
 アンカーは、ファインモールドの「ナノ・ドレッド」に交換しました。

<甲板>

 錨甲板のアンカーチェーンは、本物の鎖に交換しています。
 甲板の材木はデッキタンをベースに、複数の材木色を面相筆で塗って再現しました。
 船庫のふたは、大きさ的に鉄板製だった可能性が高いのですが、美観的に材木色で塗っています。今回は荷役中を再現するため、船庫を開口しました。アオシマ製キットはあらかじめこの改造を予想するかのような背面構造になっていました。
 きせる型の通風塔は、穴をすべて0.5mmと0.8mmドリルでさらっています。この工作だけでもかなりのディティールアップになります。ピットロード製は若干多めに入ってますが、アオシマはぎりぎりです。
 デッキ上のカッターはすべて、ファインモールド製にものに交換しました。食料運搬用の船・標的船はキットのままです。

<艦橋構造物>
 艦橋構造物は、組み立ててからは塗装できないので、あらかじめ塗りましょう。船橋左右には舷灯があらかじめモールドされています。
 煙突兆部のカバー支えは、0.2mm真鍮線製です。
 蒸気捨て管はすべて0.4mm真鍮線に交換しています。
 甲板上のハウス(後部のそれは、おそらく清水重力タンク)には舷側に窓があることが写真で確認できます。
 船橋背面の浮き輪は、フライホークのエッチング製です。浮き輪は後部構造物にもありますが、写真を見るとあったりなかったりします。
 ボート類は、間宮固有の食糧輸送用のものは1隻だけピットロード製のものにして、あとはキットのものを使っています。構造物上の内火艇・9mカッター・通船はすべて、ピットロード製のものにしました。
 階段類はすべてフライホークのエッチング製に換装しています。
 開戦前の写真でも確認できる船橋天井両舷の追加見張り所らしきものは、デッキライトをファインモールド製透明部品に、見張り用測距儀をハセガワのエッチング製にしています。
 構造物もあちこちに押し出しピンと、ひけがみられましたのでパテで整形し、扉をエッチング製のものに交換するなどしました。

<マスト>
 テーパーのついたマストはそのままですが、ついていないマストはプラ棒で再現しています。
 デリックアームは出来がいいので、若干太いですがキットのままです。滑車・フックはフライホークのエッチング製です。ワイヤーケーブルは0.2mm鋼線で再現しています。
 荷物の箱は、フライホークのエッチング製です。いくつか船庫内にも配しました。
 船橋前の無線・信号マストにはエッチング製の足かけと、トラスを使用しています。
 ヤードはすべて、0.2mm真鍮線に交換しました。また、中央の無線空中線マストはプラ棒とエッチングのトラスで自作しています。

<武装>

 14cm単装砲は、キット付属のものはコストダウンと作りやすさのための簡易化のせいでしょうか、シンプルな部品だったのでフライホーク製もの(金属製砲身にエッチングの防盾)に交換しました。

<空中線>

 今回難儀したのが、空中線・索でした。
 贅沢な悩みですが、いい写真があったのでほぼすべてのラインが判明したのと、さらにいいタイミングでファインモールドから「メタルリギングPRO」という0.08mm鋼線が出たことで、かなり実際のサイズに近い線を張ることが できるようになりました。今回は用途に応じて
 ワイヤーケーブル類:0.2mm
 信号索:0.15mm
 空中線:0.08mm
 で表現しています。
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