大阪商船 貨客船「ぶらじる丸」(1/700 フジミ)
Osaka shousen Kabushikikaisha(OSK) merchant ship "Brazil maru"(1/700 Fujimi)
参考文献・写真出典:
防衛省図書館所蔵:D船体089 「あるぜんちな丸」図面
グランプリ出版:「日本艦艇写真集『空母』」
KKベストセラーズ:「海軍艦艇史3 空母」
海人社:「日本客船の黄金時代 1939〜41」
フジミから発売になったキットをベースに作成いたしました。
以前制作しました「あるぜんちな丸」と差異を設けるため、今回はデリックアームを下ろし(これが普通)、窓の色をブルーから黒に変更してみました。
それ以外はデリックポスト兼ベンチレーター以外、「あるぜんちな丸と大差ありません。
資料的には、写真は海人社の本が、内容的には防衛省に保管されていた図面が一番役立ちました。海人社の本の図は客船としての一般配置図で、
詳しい内容も書き込まれておらず省略すらされていたのですが、防衛省の図面には(なぜか英語で)各部位の説明まで書かれていました。
尚、合成写真の背景は本物の横浜・横須賀沖の写真を使ってみました。
<船体>
水線下の部品はしっかり接着してからパテで整形して船体との一体性を確保しました。
今回は客船ファンの需要を考えて、鉄板の継ぎ目は敢えて再現していません。
側面はひけも多いので、組み立て前にパテをもって整形したほうが良いです。また、舷窓も一部再現されていません。ぶらじる丸の場合、具体的には
左舷側が13個、右舷側が12個、船首方向に窓穴があいています。
他に注意すべき点として、右舷側のアンカーの少し前に、謎の穴があいています。これは、白線がとぎれていることで複数の写真で確認できますが、
船主側にはムアリングパイプが別にある(第一、客船はだいたい左舷側で接舷します)のに、何のための穴なのかは不明です。
<甲板>
甲板は材木の色調の変化を表現するために複数のデッキタンを調合して塗布。
甲板のあちこちみ見えるきのこ型通風孔は写真と図面を参考に増設しています。
あるぜんちな丸の場合、プールはあまり日本人になじまなかったので、後に釣堀に改装されたそうです。
<デリック・デリックポスト>
なぜかフォアマスト背面にあるはずのヘビーデリックが省略されていたので、真鍮線で再現しています。ワイヤーとプーリーは
ゴールドメダル社製エッチングパーツを使いました。
本船を作るに当って最大の変更点は前後部のマスト付近にあるデリックと、デリックポスト兼用のベンチレーターでした。
キットのまま作ると、マストの左右にあるポストからデリックが伸びていることになっています。これは間違いではないのですが、問題はその左右にあるきせる型ベンチレーター。
光人社さんの「日本客船の黄金時代 1939〜41」の108ページにありますパナマで撮影された右舷前方から見た写真(写真左上)をよく見ると、
ここのきせる型ベンチレーターはデリックポストを兼ねている事がわかりました。強度的に大丈夫なのかな?という気もしますが、これは「あるぜんちな丸」
を作っているときも気がつきませんでした(写真右下)。。
図面(写真左下、防衛省所蔵図面より)を見た限りでは左右からきせるが生えてるのかな?と間違えてもしょうがないのですが。
<煙突・上部構造物>
キットからの最大の変更点はここでした。
まず、煙突には大阪商船の「大」の字をモチーフにしたファンネルマークが凸モールドで表現されており、これは実際に図面でも確認できます。
しかし、写真をみてみるとこのふくらみが確認できない(薄い鉄板一枚分くらいのふくらみがなんとか見える程度)ので、ふくらみは削って
薄くしてあります。
最も写真・図面と異なっていたのはその煙突付近のベンチレーター位置で、説明書で指示されている箇所には箱状のファンや水タンクが置かれていたようです。
このへんは詳しく防衛省保管の図面に書かれていました。
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